劇『コラボレーション』加藤健一事務所 紀伊国屋ホール(K3)2011.2.27(日)14時千秋楽「ドレッサー」作者による本邦初演作品。戦時下で芸術家の葛藤と顛末を描く良心作。
「ドレッサー」作者による作品で、本邦初演。
カトケンの作品選びの選択眼は、常に鋭くて、
毎回良質の翻訳作品を提供してくれます。
そして、カトケンの芝居は常に安心して観れます。
このことは観客が作品のテーマにより集中できる
ということです。
音楽家リヒャルト・シュトラウスと、
作家シュテファン・ツヴァイク。
戦時下における芸術家の苦悩、
すべてを犠牲にしても表現の自由のために戦うのか、
家族を守るために体制に寄りそうのか。
後世において、その時の判断を問い正すことができる者は
いるのだろうか。
導入からは、二人の芸術家の出会いと作品を作り出す
コラボレーションの喜びを生き生きとユーモラスに描き、
中盤からはナチの影との戦いと顛末を描く。
カトケンは音楽家として何とか生き抜こうとする姿を、
福井貴一はその逆に追いつめられ破滅していく姿を
ウェットさはない二人の大人の友情を背景に対照的に
演じている。
加藤忍(カトケンの劇団員ですが娘ではない)は静かに
影となり支える妻を、塩田朋子はより強く支える妻を
地味ではあっても的確に演じてます。
そして、唯一の悪役、ナチ党員を演じた加藤義宗
(こちらはカトケンの息子さん)の登場は、
2シーンのみながら冷静な怖さを感じました。
カーテンコールでは、演出の鵜山仁が歌うシュトラウス
の録音が披露されました。これもなかなか見事でした。
脚本 ロナルド・ハーウッド
演出 鵜山仁
出演 加藤健一、福井貴一、加藤忍、塩田朋子、
加藤義宗、河内喜一朗
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