劇35『ゲゲゲの女房』シアタークリエ(1-22)2011.10.2(日)12:30 消えゆく者たちの魂が、青く美しく光る「蝶化身」となっていつまでも輝いている。
劇35『ゲゲゲの女房』シアタークリエ(1-22)2011.10.2(日)12:30 消えゆく者たちの魂が、青く美しく光る「蝶化身」となっていつまでも輝いている。
「ゲゲゲの女房」ブームは演劇界にも!
この原作、どうしても水木しげると鬼太郎や妖怪たちに引っ張られてしまい、
作家さんたちの興味も、気を抜くとそっちに行ってしまう。
本当の主役は、奥様の布枝さんの苦労話と、夫人から見たしげる像、とかにある。
NHK連続ドラマは、長丁場なので実に様々な側面を、
バランス良く掘り下げていた傑作だった!
映画版では、クドカンの水木しげるが似すぎていると話題だったが、
夫婦の超貧乏時代と、二人が本当に夫婦になるまでの部分に集中し、
これも成功作だったと思う。
しかも、わずかに挿入された目玉おやじと悪魔くんのアニメも
水木まんがのテイストを的確に再現していた!
さて舞台版は…
大ファンである主演の水野美紀さんは、背が高いのも布枝さん向き。
暗くなりがちな話を、いつものコメディエンヌぶりを発揮してうまく引っ張っていた。
しげるさん役の渡辺徹さんは、貧乏という役がぎりぎりできる程度の体格か?
こちらもコメディには定評がある。
申告した所得が低すぎて生活できるわけがないといって、
税務署員が調べに来る有名なエピソードも健在。
ここで税務署員に扮する桟敷童子所属の原口健太郎さんは、
牛乳瓶の底のような眼鏡に出っ歯というまさに「水木キャラ」になりきっていて爆笑。
さらには追い払った後に撒こうとした塩すら無いという、おまけつき。
このシーンは、貧乏が生み出した哀しい怒りの場面なのに、
夫婦二人の呼吸の合い具合がとても楽しい。
作演出が「桟敷童子」(←まさに妖怪の世界?)の東さんなので、
妖怪が出るシーンのライティングや、そのお祭りのようなにぎやかさは
まさに東さんの世界。
本作では全体を通じて、時代とともに淘汰され、消えていってしまうものへの
愛しさ、はかなさ、が強く残る。
大和田さん演じる紙芝居屋の最後の口上!
梅ちゃん演じる貸本屋は、胡散臭い景品で再起を図るも、
うまくいかず、それでも肉体労働で、しげるへの未払いの原稿料を残していく。
そして、居場所を失っていきながらも、しげるに御礼を言い続ける妖怪たち…。
そう、戦争中にジャングルの奥地で見た何万という青い蝶々は、
しげるを守ってくれた亡くなった兵士たちの魂だった。
消えゆく者たちの魂が、青く美しく光る「蝶化身」となっていつまでも輝いている。
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[原案・原作]武良布枝
[劇作・脚本・演出・美術]東憲司
主な出演者
水野美紀、渡辺徹、梅垣義明、大和田獏、ほか
クリエちゃんだったっけ?毎回看板がその公演にちなんだ絵柄に代わります。
さすがに妖怪コスプレはしなかったか。
☆
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